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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第3章 揺れる枝葉
「大変みたいですね。おじさんは体調大丈夫?」
「私は大丈夫だよ!休みなのに、美代さんにも出てもらって悪いね。助かってるよ」

助かってるのは私たちの方だと冬子は思った。

父親を早くに亡くした冬子を、娘のようにかわいがってくれている。
小学校、中学校の入学式や卒業式には決まって参加してくれ、冬子の晴れ姿を見て涙してくれた。美代ですら泣くことのない場面でだ。

悠と結婚して、忠や昌子と家族にれたらどんなに素敵だろう・・・・。

冬子は二人に深い恩を感じていたし、何より二人の人柄が大好きだった。

「おじさん、帰り、今川焼き買ってくるね」
「ほんとかい?じゃあ、それを楽しみにあと一息頑張るかな」
「無理しないでね」
「ありがとう、冬ちゃん」

傍からみたら実の親子に見えるほど、二人が微笑みあう姿は自然だった。

忠は冬子に書類よろしくね~と言って手を振り、工場へ戻っていった。

冬子は悠に電話をかけたが、つながらなかった。電源が入ってない状態のようだ。

買い物した食材を片付け、すぐに悠のマンションへ向かった。

冬子は悠のマンションに上がったことがなかった。場所だけは知っている。
悠が部屋に入れたがらなかった。おそらく、だいたいの確率で女の子がいたからだ。

冬子はマンションの下でもう一度悠に電話したが、やはり繋がらなかった。

二重オートロックの立派なマンションで、土曜だからか人の行き来が多かった。

インターフォンを鳴らすが出ない。
悠は寝ているのかもしれない。ドア越しに声を掛けてみて、それでも応じなかったら帰ろうと思って、住人が入るタイミングでマンションの中に入った。

冬子は迷うことなく悠の部屋まで進み、そこでもインターフォンを何度か鳴らした。

「悠、悠」

ドアを軽く叩いて呼びかけた。やはり部屋にはいないのだ。
冬子は小さくため息をついて立ち去ろうとした。

「悠、いないの?」

髪を綺麗に巻いて、ばっちりメイクしている若い女性が冬子に近づいて声をかけた。
二十歳ぐらいだろうか。ロングブーツに、おそろしく短いスカートを履いている。少しでも前に屈んだら下着が見えるだろう。

「いない・・・・みたいです・・・・・」
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