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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第1章 思いがけないプロポーズ
冬子は短大卒業後、家の近くの病院で医療事務の仕事に就いていた。
悠は有名私立大学の大学院を卒業して、大手電気メーカーに就職して開発の仕事をしていた。

大学入学と共に悠は家を出た。実家も都内にあるから不便なわけではないが、一人暮らしがしたいと言って出ていった。
自立を大義名分に、本当は女の子を連れ込むことが目的だったことを冬子は知ってた。
今の職場も実家から近いというのに、一人暮らしをやめるつもりはないようだ。

悠は誰が見ても美しい青年である。
小さい顔に細い体。
目は綺麗な二重でまつげが長く、鼻の形もすっきりと高く、西洋の血がまざっていると良く間違われる。唇が薄く、あごもシャープだ。

悠自身はこの中性的な美しさを嫌い、空手や柔道といった武道を極めたり、筋トレなどをして体を鍛えていた。
大人になってだいぶ男らしさが出てきたが、中学生頃までは本当に女の子のようだった。

それだけ見目麗しく、成績も上位、家もそれなりに裕福となればもてないはずがない。
地元では王子様扱いだった。

冬子は同じ敷地に住んでいることで、手紙やプレゼントを渡してと頼まれることは日常茶飯事だった。特に多いのが写真を撮ってきてとインスタントカメラを渡されることだった。当然、いやがらせも散々受けた。

特に、少年から青年に変わる高校生時代のモテかたはすさまじかった。

悠の両親は地元に友達を作った方が良いと、小学生時代は近所の公立小学校に通っていたが、中学からは私立の男子校に通っていた。

にもかかわらず、ファンクラブなるものがいくつもあったし、誕生日やバレンタインデーの時はたくさんの女の子が家に押しかけた。

そうしたことがもともと自己中心的でわがままな性格の悠を更に調子に乗らせた。

外面が良く、みんなには優しく、かっこよくて、ユーモアもある好青年に映っていたに違いないが、冬子は本当の悠を良く知っていた。
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