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君の瞳に映る白い花【おまけ追加しました】
第1章 思いがけないプロポーズ
冬子は髪を拭く手を止めた。

「?」

何のことかと首をかしげる冬子に悠は続けた。

「結婚だよ、結婚」
「結婚?」

(結婚しねーか?って言った・・・・・?)

自分の聞き間違いだと思って冬子は笑った。どうやら悠が誰かと結婚するという報告らしい。

「おめでとう。良かったね。相手、どんな人?」

冬子は素直に祝福した。悠が顔をしかめる。

「馬鹿か、お前。人の話聞いてんのか?俺と結婚しないかって言ったんだよ」
「・・・・・・・」

動かず悠を見つめる冬子を見て、悠が怒り口調で言う。

「だからー。俺と!お前が!結婚するって言ってんの!」

今までも突拍子のない事をさんざん聞いたり、されたりしてきたが、今回は今までで一番かもしれない。

(・・・結婚?私と悠が??)

あまりにも脈絡のない発言なので、冬子は混乱し、悠の頭がおかしくなってしまったのではという不安に襲われた。

「・・・・悠、大丈夫?ちょっと疲れてるんじゃない?寝てないの?」

冬子は本気で心配して言ったのだが、この言葉は悠を更に怒らせた。

「おい、おれは正気だ。酔ってもない」
「オイラーの公式は?」
「 eのix乗 = cos x + i sin x 」
「バンコクの正式名称は?」
「クルンテープマハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラアユッタヤー・マハーディロッカポップ・ノッパラッタラーチャタニーブリーロム・・・・って言わすな!正気だって言ってんだろ!」

これらの質問は、もし仮に自分が意識混濁状態などになった時に正気かどうか確かめるために質問しろと、悠自身が言ったことだった。
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