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私の欠けているところ
第13章 正直、Siriってなんだよ…と、思う

『今着いたよ』


部屋に戻ってすぐ
俺は時に
久しぶりのLINEをした

読んでくれるかどうか
心配だったけど

時の既読はすぐにつき

『おかえりなさい』

と返信が届いた


それ以外の言葉がないってことは
俺と時が
陸と時だったってことを
不審に思ってないってことだ

時は
過去の俺とのLINEを
目にしたはず

時は
ちゃんと分かってるんだ

俺が
陸だってこと


俺と
この部屋で
何してたかってことも


『アイツ、来たりしてないか?』


『うん、来てない。
大丈夫だから
早く寝てね』


『うん』


時のLINEは
あっさりしていた

そのあとも
時から連絡が来ることはなく

俺がいなくても
寂しいわけでも
悲しいわけでも
ないんだと思うと

妙に凹んだ


なんか

俺だけが
時を好きで
がっついてるみたいで

時は
そんな俺に
合わせてくれてるだけみたいで


辛い


その日の夜
俺はひとり
ベットに身体を沈めて
色んな事を考えていた


時が
突然いなくなったこと

人が変わったように
俺を突き飛ばしたこと

急に
陸と呼ばなくなったこと

セックスを
しないと言い出したこと

アイツと別れたこと

俺がいなくなっても
何の連絡も
してこないこと


激ヤセしたこと


俺はそのころ
どんなに考えても
全く時のことを
理解できないでいた


時の本心は
なんだったのか


時の苦しみが
なんだったのか


だから

俺も苦しみ
時も苦しみ続けたんだ


まるで
出口のない
トンネルの中を
彷徨うように
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