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第36章 　本当の主･･･？

　　


　奈音は、恵見をそっと見つめた。


「なんだ。俺が弄んだとでも言うのか？」


「あなたは、酷い人だわ。自分の野心の為に聖子に近付いて勘違いさせた。聖子は、あなたにどんどん嵌まっていった。
　私に〝優しい人が居る〟と言っていたのよ。それなのにあなたは、旦那さまに気が移ったからと殺してしまった。
　でも･･･気が移ったのでは、なかったの。」


「え･･････？」


「月良さま、もしも旦那さまが聖子に欲望で近付いて来たのなら私はそちら側には行きませんでした。
　聖子は、相談したかったんです。恵見弁護士のことを相談したかったんですよ。それなのに･･･」


「奈音さん･･･」


「あなたたちは、聖子がどうなっても良かったのよね。聖子は、両親に愛されないかわいそうな子だったの。椥さん･･･あなたも婚外子で大変だったでしょうけれど、聖子も同じような境遇だったの。」