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第9章 運動不足…



「理梨…?腹減った…。」


この言葉でもう朝だと思う。


「あっち向け…。」


犬男が大人しく背を向ける。

ベッドから出ようとすると足が震えて立てない事に気付いた。


「涼ちゃん…。」

「んー?」

「立てない…。」

「えー?」


犬男がこっちに振り返る。

枕を投げつけて叫ぶ。


「見るな!触るな!」

「えーっ!?」


涼ちゃんがアタフタする。


「嘘つきっ!無茶しないって言ったのに!」

「ごめん!だから…、怒んなよ。」

「絶対に許さない!」

「本当にごめんなさい!」


私には昔ながらの泣き虫でトロいままの姿を見せる。


「絶対にだめっ!」


そう言い切って、そっぽを向く。


「ごめんなさい!本当に悪かったから…。」


私の機嫌が治るまでは平謝りが涼ちゃんのやり方。


「知りません…。」

「朝飯はルームサービスにする?その前にシャワーにするか?俺が連れてってやるから…。」


情けない顔でしょぼくれる犬男にため息が出る。

カッコいいが台無しだよ…。

項垂れる涼ちゃんの頭を撫でてみる。


「理梨?」

「シャワーが先…、でも、これ以上は何もしないって約束して…。」

「約束する。」


頬にキスをして私をシャワーに連れてってくれる。

体力の塊のような人と結婚する意味が少しわかったような気がした。

シャワーを浴びて着替える頃には普通に歩けるようにはなっていた。


「理梨…。」

「触らないで…。」

「本当にごめんなさい!」


平謝りの涼ちゃんを連れてホテルのレストランに向かう。


「飛行機の時間は?」

「昼前の便を予約したから時間的には大丈夫…。だから…、そろそろ機嫌治してくれよ…。」

「それとこれは別の話です。」


私だって、せっかくの旅行を不機嫌で終わりたい訳じゃないけれど、ここはしっかりと躾をする。


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