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第7章 仕事だから…



終業式が終われば私の生活は涼ちゃん一色に変わる。

短大への推薦はほぼ問題がない。

午前中に宿題などの勉強を済ませれば、午後はジムで涼ちゃんに付きっ切りになる。


「カッコ付けて大振りすんな!」


バシバシとハリセンの音をさせて会長さんが怒鳴り声を上げる。

涼ちゃんのミット打ちのフォームのチェックをしている。

今は10R目…。

コンパクトに打ちスタミナ温存をするのは基本ではあるけれども疲れ切った身体が繰り出すパンチやキックは自然と大振りになってしまう。


「カッコなんか付けてねぇよ…。」


ゼーゼーと肩で息をしながら涼ちゃんが口答えをすると容赦なく会長さんが涼ちゃんの頭にハリセンを叩き込む。


「喋る元気があるなら足を使え!」

「やってんだろ!」

「ハエが止まってんぞ。」


毎日、毎日、よく続く喧嘩だと呆れてしまう。

3分が終了するブザーが鳴る。

練習用のリングから涼ちゃんが降りて来る。

水を渡して頭から流れる汗を拭いてあげる。

ミット打ちの相手をしていた篠原さんもリングから降りて来る。


「会長、例の仕事はどうします?」


篠原さんが私を見ながら言う。

会長さんは涼ちゃんを見る。


「絶対にやらない。」


ぶっきらぼうにそう言った涼ちゃんが会長さんを睨んでる。


「何の仕事?」


多分、篠原さんは私に涼ちゃんの説得を望んでいると理解する。

いつものパターンだから、まずは話を聞くしかない。


「スポンサーサイドのCM撮影の仕事。」


篠原さんが説明をしてくれる。


「スポンサーさんの仕事なら、嫌だとか我儘は言えないでしょ?」


涼ちゃんの説得を開始した。


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