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悪巧み
第2章 踊り場
俺はスリッパを脱いで裸足になった。
階段をゆっくり、音を立てないように上っていった。
踊り場に着く頃には、俺はもうしゃがんだ格好になっていた。
踊り場の手摺に隠れ、片目だけ端から出すと、上を見た。
心臓がどくどくと音を立てているのがわかった。
5メートルは離れていないだろう。
暗闇に人がいた。
二人だ。
二人とも抱き合っている
女のくぐもった声が聞こえる。
その声に交じって、ぴちっ、ちゅっ、と舌打ちをするような粘着質の音も聞こえる。
段々暗闇に目が慣れてきた。
慣れて来ると思ったよりは暗くない。
ここで大丈夫なのだろうか?
俺は一瞬不安に駆られたが、今は、葛西の言う通りに動くしかない。
屋上へと出る非常口のサイン灯が、二人を淡く照らしていた。
二人は唇を吸い合っていた。
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