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夢の欠片(くすくす姫サイドストーリー)
第1章 前編
「当主様…」
貪るような性急な口づけを交わした後、女の濡れた瞳が薄暗がりの中で、苦しげに男を見詰めました。

「…奥様」
長い時間堪えてやっと手に入れた逢瀬の時間は、限られています。
急かされるように服に手をかけ、曝した熱い素肌を弄りながら、男はまるで初めて女に触れた時の様に、歓喜で張り詰めておりました。

「今は、奥様って、呼ばないで…」
ぞくぞくする快感に息を荒げ始めた女は、目を伏せて男に懇願しました。これが裏切りであり罪であることは分かっていましたが、それでも今はお互いの事だけを感じて居たかったのです。

「では、私のことも、名前でお呼びください」
「ん…サ…っ…あ、…」
呼ぼうとした名は唇に飲み込まれ、女は男の体に手を回し、震えるほど渇望していた愛撫に身を委ねました。





男は、国の南の地にある、果物園の当主でした。
果物はこの地では、生きて行く上での必需品ではありません。生きていくのに必要な穀物や野菜と同じ様に作って売っていては、大きな利益は上がりません。男は、果物を普通に食品として流通させる以外に、贅沢品として金持ちに売ることも行って、利益を上げておりました。そして今では、地域を支える産業になろうかという所にまでなっておりました。


「どうだ。これはと思う女は居るか?」
「…別に」
男はこの地の領主の息子と同窓で、遊び友達でありました。
二人とも、嫁も子も居ておかしくない年頃でしたが、どちらもまだ独り身でした。
そろそろ結婚して跡継ぎを、と周りに言われ始めた領主の息子は、男を宴席に誘いました。しかし、遊ぶ相手に不自由して居ない男は、宴席への誘いを断り続けました。気ままな生活を捨てて決まった相手に縛られるのは、どうにも性に合わなかったのです。
ところがある日、痺れを切らした果物園の家令と領主の息子が結託して、男を罠に嵌めました。
宴席だと知らずに連れて来られてしばらく帰ることも出来なくされた男は、不満気で不機嫌そうな顔をして、つまらなそうに隅の壁に寄りかかり、ちびちびと酒を飲んでおりました。

「お前もそろそろ諦めろ。身を固めるなら早い方が良いぞ、女はどんどん売れていくからな」
「…そりゃ、お前が言われてる事じゃねえのかよ」
「当たりだ。しかし、お前にも当てはまるだろ」
領主の息子はそう言うと、遠くで談笑している女達の中の一人を男に指し示しました。
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