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俺の元カノ
第14章 初老の男
会社に見馴れない初老の男が現れたのは、それから数ヶ月過ぎた夏の始まりだった

俺に会いたいと応接室に居る、名刺は持ってないらしく『高柳』と名乗っているという

飛び込み営業か?と思いながら応接室に行くと、スーツ姿の男だった

私が名刺を出そうとすると「あんたの家に居るリカを返してもらえないか?」と急に言い出した

「リカは私の兄の家内、つまり義理の姉のことでしょうか?」と切り返すと、いきなり男はバカしたような笑いを始めた

「すっかりリカになっちまったようですが、あれはカオリっていう私の娘なんです 戦後のバタバタしてる時に拐われまして、探して探して、やっと見つけました」

「高柳さん、どういうことでしょう?」

「だからリカじゃなくてカオリなんだよ 娘を返せと言いに来たんだ」

言葉は悪いが、話を始めた

リカことカオリはあの町で生まれて、戦前から体を売って生きてきたらしい

高柳は父親といっても元締めの男、戦後は外国人の兵隊にも相手をさせて、カオリは人気があったという

そこにたまたま俺が現れ、連れ去り、探し回っていたようだ

今日は引き上げてもらい、帰宅してリカに聞いた

やはり高柳の言ってる話は正しかった、リカは兄と離婚して、高柳の所に帰ると言い出した

兄に俺とリカの出会いからすべてを話すと、兄はリカに任せると言い、数日後にはリカは静かに家を出て、俺たち前には現れなかった


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