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姫巫女さまの夜伽噺
第9章 穂高と志摩
「伊良様のお世話がかりである私たちも、鼻高々です。
本当に素晴らしいことです。
全くもって感無量です!」
近江はシャキンとテキパキとそう説明をした。
しかし、持ち上げてくれるのは結構な事なのだが
伊良にはそれをされると困る事があった。
(どうしよう…すごい尾ひれが付いているみたいだけど…)
噂というのは恐ろしいものだった。
いつの間にか
伊良が蝓凪様をたらしこんだという噂まで出ていた。
「…本当に何もしてないのよ、私…」
「いいえ、あなたはきちんとお仕事をしました。
とても立派です。
心の底から誇りに思ってください。
なぜなら、姫巫女としてあなたが仕事を全うする事。
たとえ何かをしなくとも、伊良様が決意なさる事。
そういった決意によって、世界は変わったのです」
近江は伊良の手をマッサージしながら
そう真剣に話をする。
あまりにも真理をついたような言い方だったので
思わず年齢を聞こうとしたのだが
聞いたところで、おそらく自分の常識の
範疇外であることは確かだったから
伊良は黙っておいた。

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