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夜に咲き乱れる花
第11章 台風
今回の台風は例年より長引きそうな気配、風も強く‥雨の量も上陸前から酷かった

酒蔵にある出来上がった酒を急いで瓶に詰め込み、避難をさせた

しかし直樹が手を入れていた時よりも味は落ちてきてるので売り上げも良くない状態が何年も続いてる、ある日、あの代理人が直樹に呼ばれた

詩織に呼んでくれとも頼まないし、直樹の居る部屋には誰も入れない

なのに代理人は呼ばれた

詩織は代理人が呼ばれると外に出る、少しだけ自分の時間となる

自分の身の回りの品々を買ったり、直樹の好きそうな物を買い揃える

帰宅すると、だいたい話は終わっている

代理人は妻のヤエ子を部屋に呼び、詩織も同席して欲しいと言ってきた

話の内容は酒蔵を閉鎖すること、酒蔵に居た従業員は新しい酒蔵に再就職出来るまで見届けること、そしてヤエ子に離婚を申し出た

もちろんヤエ子には一生分の金銭を支払い、家屋敷を与えるという

そして詩織を正式な妻として迎える、それはまたも文書になり、あの直樹の署名と捺印が押されて、今日の日付が記されていた

ヤエ子は発狂した、しかし何を言っても始まらなかった

詩織も突然の話で驚き、呆然としてしまった

代理人がまた数日後に来ると話して、直樹の部屋から出て行くと、詩織は追いかけて行った

「お話を伺いたいのですが」と呼び止めた

代理人は振り向き、詩織が聞きたかったことを聞いた

「どうやって、直樹さんはあなたを呼ぶんですか?」

すると代理人は「詩織さんはまだ気づいてませんね?」

「えっ? どういうことでしょうか?」

「旦那様はあなたが居ない僅かな時、使用人に私に来て欲しいという葉書を渡しているんです」

「もちろん長い文字は書けませんから、我々だけが分かる暗号を使います お会いしてから話の内容の詳細を聞いて、今回のような形となります」と説明をしてくれた

分かるようで分からない説明だが、代理人を呼ぶのだから話は有効になっていく

そして代理人はもう1通の文書を詩織に手渡し、汽車に乗り込んだ

その夜から台風は更に近づいていき、外は暴風になっている
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