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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第16章 委員長は責任感が強すぎる
「想像通りだよ。助ける為とはいえ、僕は美里を――あいつの身体からは、堕児が死んで出てきた。それが確信の理由さ……」

 言葉を失った彩夏から伝わってきたのは、動揺だった。

「僕は最初、変な事に巻き込まれたと思ったんだ。意味不明なものに身体を乗っ取られても、変な悪霊にでも憑かれてたんだと、思い込む事がまだできた。でも……違ったんだよ」

 返答に詰まる彩夏に、真吾は説得するように続けた。

「夢の内容が現実で、ただの夢ではないと知った時に……僕は、この為に用意された人間なんだなと、思ったよ……」

 諦めたように語る真吾に、彩夏は苛立ったようにつっかかった。
 正義感だけで動ける、短気で諦めの悪いクラス委員長には、諦念的な態度が気に障ったようだった。

「どうして?それならまだ、選ばれたって思うのが先でしょ?何でそうなるのよ!?」
「選ばれたのなら、他にいないのは変だろ?」
「探してもいないのに、何でいないってわかるのよ!?」
「夢で言われたんだ!この能力は掛替えのない、稀有の力……らしいよ。だから僕にしか、この力は無いんだ。女性を襲う事の意味……それを聞いても委員長は、まだこの件に関わるつもりなの?」

 彩夏は、手元をじっと見つめたまま微動だにしない。
 その姿は答えに困るというより、迷っている感じだった。女性にとって気分の良い話ではなかったはずなのに、何故そこまで迷う理由があるのだろう。
 クラスの先々を考えての事なのか?
 クラスの危険人物を放っておけないからか?
 そのどちらにせよ、関わるかどうかを悩むなんて、彩夏はバカだと思う。
 考え込んでいた彩夏はやがて、顔を上げた。その顔は何か、大きな決意を懐いたように真剣だった。

「関わるわ……だって、やっぱり放っておけないもの」
「放っておけないって……何を安請け合いしてるか、わかってるのか!?」
「わかってるわよ!」

 真吾は、激情も露に彩夏に詰め寄った。
 いつも大人しい真吾が彩夏の肩を掴み、珍しく大きな声を上げる。その様子があまりに意外だったのか、彩夏はだいぶ驚いたようだ。
 苦渋に満ちた眼差しで、真吾は彩夏を見つめた。

「いーや、わかってないだろ!?幾ら人を救う為だからったって、所詮はレイプなんだぜ?」

 彩夏の顔が強張り、絶句する。
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