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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第21章 胸の痛みの理由も知らずに
 ズボンのチャックを下ろし、勃起したペニスを真吾は開放させた。
 狭苦しい制服のズボンから開放されて、ビィンと飛び出す彼女の肉体を貫く為の肉凶器――ふたりの胸と胸の、僅かな空間に影を下ろす雄々しい剛直のシルエット。美奈を犯そうとビクビクと震える禍々しい影は、彼女の目には凶悪で醜悪な異物に見えているだろう。彼女の膣《なか》に汚らしい欲望を吐き散らすのだから……実際その通りだ。
 ペニスを目にした美奈はそれを凝視すると、衝撃に顔を引き攣らせる。
 様々な思いが彼女の瞳に去来しているのか、震えるように双眸が大きく揺れた。瞬きを忘れた見開かれた瞳はやがて、貯めた涙をまた落下させた。
 何をこれからされるのか、彼女にも察しがついているのだ。

「――やめて?滝川くん、お願いよ……」

 美奈は驚きと怯えの浮かんだ顔を、僅かに振る。
 溢れた涙がついに耐えかねたように堰を切ると、なだらかな頬を幾筋もの涙が落ちていく。その涙は首筋にまで伝い、口づけた時に塩辛い味を真吾の唇にも残した。
 口に広がる苦い、レイプの味――。
 心ともなく美奈の方を見てしまう。
 美奈もこちらを見つめていた。
 何とも哀切この上ない彼女の泣き顔に、心はズキリと痛んだ。
 どうして美奈は責めないんだ……。
 大した拒絶もなく、何故と問うだけで行為を受け容れる美奈。責め苛む事も無く、ただ泣きながらもレイプを受け止める美奈に、真吾は苦々しい思いを懐かされていた。
 強く拒絶された方が、まだマシだ。真吾は酷く切なく、遣る瀬無い気持ちになった。
 美奈は頻りに「どうして」と尋ねるが、真吾も彼女に聞きたかった。
 どうして責めないのかと……。
 まるで悲鳴を上げるように、何故か切なく心は喘ぐ。その痛みを、どうする事もできずに持て余す。

「……たき……川くん?」

 真吾は涙を流す美奈の眦に口づけていた。
 美奈はその口づけに眉根を寄せながら、そっと目を閉じる。
 閉じたろころに、舌の先がすくうように涙をそっとなぞると、暖かい唇が美奈の眦にまた、被せられた。涙を落とす眦に……泣かないでくれと囁くように、真吾は口づけた。

「どうして……?」

 美奈は、か細い声で尋ねた。
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