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竜を継ぐ者~黄の刻印の章~(世界はエッチと愛で救われる)
第1章 胎動
「此度に降誕した黄帝の確認はどうじゃ、進んでおるのか?」

 女は傅くローブの人物に向けて、問いかけた。
 ローブの人物は恭しく頭を下げると、女に丁寧に答える。

「目星は凡そついてございます。後は目覚めを待つばかりかと」

 ローブの人物の答えに女は満足そうな笑みを浮かべる。

「子らの習性を推すれば現然たる事であったな」
「はい――既に手の者を周囲に忍ばせております」

 その言葉に女は優雅に頷いた。
 耳朶や首に掛けられた玉が、頷く挙動に合わせてチャラと美しい音を奏でた。

「妾は此の場より時が来るまで動けぬ故、そなたに全権を委ねる。頼むぞ?」
「命に代えましても、必ずや吉報をお持ち致します――大君」

 ローブの人物は最後に深く一礼をすると、スッと溶けたように姿を消した。
 大君と呼ばれていた女は満足そうに瞼を閉じると、時を止めたように微動だにしなくなる。青白い肌の所為も手伝って、まるで氷の彫像のようだった。
 後には――。
 静寂と、時おりポタリと垂れる雫の音だけがその場に残されたのだった。

 ◇

 暮れ泥む放課後の教室。
 滝川真吾《たきがわしんご》はクラスメイトの女子とふたりで、不思議な光景に遭遇していた。
 墨を落とし始めた空は、遠くの方に僅かに黄昏の色を残すのみで、既に宵の明星が西の空に輝いていた。
 突如として現れた、クラスメイトを包む白い光。その光が教室に忍び込む暗がりを払うように、二人の周囲だけ仄明るく照らしている。
 ふたりは光に戸惑い、驚きながら――ただ唖然と見つめていた。

「な、何これ……この光、私から出てるの……!?」
「どうやら……そうみたいだ……」

 目を開けられないとい程に眩しい光ではなかった。
 だが、直視するにも少し眩しい。
 淡く少し儚げな、蛍を思わせるような優しい光。
 その光は二人の顔を仄かに照らしながら、やがて命が燃え尽きたかのようにだんだんと弱くなっていった。
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