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咲き乱れる花[改訂・新版]
第16章 釈放
判決は10ヶ月、その間に詩織は敦の正式な妻になった

美織も敦の養女となり、詩織との生活の再開と共にすべてが変わった

今までより遥かに裕福な生活、若い父親の敦の存在

敦は美織には立派過ぎる父親となり、美織は直ぐに打ち解けていく

夫婦の営み生活は敦の好みの女に仕立て直していき、詩織の大胆さは日増しに増していった

そして美しさと品の良さも出てきたので、不思議な女

家の殆どは詩織がこなすことで女の使用人を二人に減らし、運転手や護衛の男を四人になった

すっかり家庭らしい家庭に変わっていき、敦が幼少時から憧れたものが現実になった

直樹が釈放された日はヤエ子が迎えに行った、酒蔵は規模は小さくなりながら、ヤエ子が女将として倒産だけは免れていた

「ありがとう」

「潰さないようにはしておいたよ、あんたの妻は私だから‥」

「ヤエ子は妻だし‥女将だ‥ でも女としては見れない」

「あんな若い女と居れば、そうなるのかもね‥ でも別れないよ」そう言って、ヤエ子はヤエ子の家に戻った

数日後、直樹宛に敦から手紙が届いた

出所祝いを兼ねて、酒を二本買いたいという内容

久しぶりに詩織の顔が見られると思い、直樹は上等な酒を選び、敦の家に出掛けた

出迎えた詩織とは約1年ぶりの再会だった、詩織の振る舞いから他人を感じる

すっかり敦に入れ込んだ女に変わった詩織に驚きながら、直樹は敦の居る部屋に通された

敦は敦で町議長らしい

直樹は老いを感じながら、敦と酒を交わした

久しぶりの酒が身体に巡り出す、するとまた敦が直樹に言い出す

「詩織を毎夜可愛がってるんですが、なかなか出来ないんですよ」

「出来ない?」

「ははは‥ 相変わらずの方ですね‥ 美織の妹か弟ですよ‥ でもね出来てしまうのも困ることも有るんです‥」

相変わらずの男だ、腹違いの妹を娘にしておき、詩織をすっかり自分の女にしている

計算高い男としか言えない、そしてまた直樹が自由の身になったことで、火花はまた散り始めた
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