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牝獣の哭く夜
第7章 彼女の靴下


  膝の上やや高きあたりより
  皺もなき薄墨色の刺青の
  すき見ゆる絹の夢

 ふたたび、堀口大學の「彼女の靴下」を胸中で唱えた。

 絹の靴下でも、セパレートのストッキングでもない。
 無粋ともいえるパンストだが、沼田は満足だった。

 魅惑の感触に、愛撫を嫌がって抵抗する女の身悶えが伝わり、なんとも刺激的な手ごたえなのだ。
 勃起しきった肉棒の先端に、先走り汁がにじんでくる。

 沼田は高校生の頃から、詩が好きだった。

 詩集を読んでいるところを級友にからかわれてからは、一度もその趣味を人に明かしたことはないが、いまでも秘かな愉しみであった。

 撫でさする手に、少し力をいれてみた。

 指先を優しく押し返してくる、しなやかな弾力。
 三十三歳という年齢を感じさせない太腿の瑞々しさが、沼田を有頂天にさせた。
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