この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第3章 雪泥鴻爪

 小道を無言で進んでいく大きな背中について歩き散策路を出ると、近くにある狭い駐車場に辿り着いた。街灯の光が浮かび上がらせるのは、フロントと屋根に薄雪を乗せている黒のSUV。

 助手席のドアを開けて待つ藤田の目を見て、潤は一瞬足を踏み出すのをためらった。
 今から書道をしにいく。それだけだ。ほかになにを期待しているわけでも、なにを恐れているわけでもない。一時間くらいで帰れば十時までには家に着く。誠二郎が帰る頃には軽い夜食と風呂を済ませ、すでに寝床についている。そう心に言い聞かせ、潤は藤田に礼を言って助手席に乗った。

「ちょうど今日、潤さんに臨書してもらう手本を選んでいたんです」

 車が発進すると、隣でステアリングを握る藤田が言った。

「臨書……あっ、はい」

 昨日言われたことは単なる美辞麗句だろうとどこかで思っていた潤は、その話題に自然な反応を返すことができなかった。それを悟ったのか、藤田がくすりと息を漏らす。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ