この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第3章 雪泥鴻爪

 否定の言葉を口にしかけ、潤は唇をきつく結んだ。名筆を前にして素人がそんなふうに感じるのはおこがましいと思った。だが藤田の書と出会った瞬間のような、あの激情がどうしても湧きあがらないのだ。

「感じたままを仰ってくださいね。潤さんがそれを好きかどうかが重要なのです」

 その優しい声と眼差しは素直な感想を待っている。もしかしたら藤田はもうこの違和感に気づいているのかもしれない。
 書道の美しさは十人十色――。昨日藤田が言っていたことを思い出し、机の上でその身を静かに晒しつづける書を見下ろしながら潤は口をひらいた。

「好みかそうでないかと訊かれたら、好みではないのかもしれません。とても冷静で、美しいけれど、美しすぎるとも思いました。だからこそ理想的といわれるのでしょうけど。私は、もっと……」

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ