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滲む墨痕
第4章 一日千秋

 こわばっていた身体が脱力すると、それを合意と捉えたのか誠二郎の腰の動きが乱暴さを増した。息もあがっている。その瞬間が近いのかもしれない。早く、と潤は願いながら息を止めた。

 静まり返った空間に、男の荒い息遣い、畳と肌がこすれる音、肌と肌がぶつかる乾いた音だけが存在していた。眉間の皺を深くして目をつぶる男はまるで、夢想の中で自慰に耽っているようだった。
 やがて激しく打ちつけていた腰が最後の一突きをいれて静止すると、男は小さく呻きながら、ワイシャツを着たままの身体を何度か小刻みに震わせた。硬い怒張が、女の奥深くに白濁した穢れを噴き上げたのだ。

 苦痛な時間が終わり、潤はかすかな安堵感を覚えながら静かに呼吸をする。肩で息をしている誠二郎は、役目を終えた分身をいまだ引き抜かずにいる。白いシャツには、ところどころに墨がついてこすれた跡が見える。

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