この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

 潤はゆらりと立ち上がり、流れる涙をそのままにふたたび歩きだした。
 すべて、彼らの掌中で踊らされていただけなのかもしれない。自身の知り得ない闇が、こうして一歩一歩踏みしめている地面の下に深々と根づき、この地域一帯を掌握しているような気さえする。

 このままなにもかも放り投げて、この街から出てしまおうか。そうして藤田に誘われたとおり、あるいは彼らの思惑どおり、東京に逃げ帰ってしまおうか。

――違う。

 俯けた顔を隠すように、結っていない髪がさらさらと揺れる。震える手でそれを耳にかけながら、潤は心の中で帰るべき場所を拒否した。
 あの地は自分の居場所ではない。あそこへ逃げても、どこにも拠り所など見つかりはしない。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ