この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

 寒さに身体が震え、潤は思わず足を止めた。凍える手を吐息であたためると、その場に呆然と立ち尽くした。

 なにかあるたびに思い出すのは、人生の岐路に立たされた五歳のあの夏の日。
 姉には意志があった。幼いながらも、自らの意志で状況を変えようとし、自らの意志で居場所を選んだ。
 あの田舎町で、彼女は地元の男性と結婚した。子宝にも恵まれ、すでに当時の自分たちと同い年くらいになる姉弟がいる。
 いつか彼女は言っていた。自分の選択を後悔していない、と。綺麗な笑顔で。

 どうしようもなく逃げたくなったとき、どこへ行けばよいのか自分にはわからない。姉のように意志を持つことができなかった事実が、ふとした瞬間に甦り、何者にもなれない自分を嘲笑い、足をすくませるのだ。

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ