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滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

 腰から膝は白の湯文字で隠されている。巻きスカートのように腰に巻きつける下着であり、その中にショーツは履いていない。
 うむ、と短い唸り声を発した藤田が背後に回り込んだ。腰のくぼみに指を添えられて潤がぴくりと反応すると、彼は吐息のような笑い声をこぼし、内側に入れ込んである力布の端を引き出した。
 下腹部への締めつけがなくなると同時に下半身が晒され、潤はひそかに身震いした。腰のくびれから尻のふくらみまで、熱い視線になぞられる気配を過敏な神経が伝えてくる。耐えられず、藤田に背を向けたままその場にしゃがんで足袋を脱いだ。

 浴室の戸がひらかれた。吐き出された熱気が裸体に貼りつき、冷えた湿り気に変わる。
 こちらを見ない横顔を窺いながらそろりと立ち上がり、濃灰色のバスマットを踏んで中に入る。昔ながらの冷たいタイル張りの床に足裏がひやりとし、潤は肩をすくませた。

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