この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
滲む墨痕
第5章 尤雲殢雨

 決して深い関係ではない。絶対的な信頼があるわけでもない。それでも、合わせた肌はしっくりとする。背に感じる鼓動は熱く響き、心を強く繋いで引き寄せる。
 抗う気持ちを捨て、くたくたとしなだれかかったとき、それを待っていたように耳たぶを甘噛みされた。艶息を漏らせば、耳を離れた唇は肩に吸いつき、じゃれるように何度も口づける。
 他方に首をひねり柔い刺激に耐える。ふと甘美な音が止み、首筋を濡れた舌が這った。

「あっ……」

 耳に戻ってきた唇は、最後に一つ口づけを落とすと吐息まじりの言葉を発した。

「明日、一緒に東京へ行きましょう」

 彼はまだ諦めていなかったのだ。

「……どうして」

 こうまでして連れ去ることになんの意味があるのか。そんな疑念をもって呟いた潤に、藤田は固い声で答えた。

「あなたを一人でここに残したくない。中途半端な真似はこれ以上したくない」

 静寂が訪れた。一呼吸置き、彼は感情を吐露するように震え声で言った。

「手放せないんだ……」

/335ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ