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美女の危ない立回り
第1章 美女の危ない立回り(プロローグ・大学4年の春)

彼女はスマートホンに案内された最寄り駅から電車に乗り込んだ。
土曜日の朝のまだ混んでいない時間帯だったので、椅子に座ることができた。

少し落ち着いた所で
右側の胸に少しヒリヒリするような感覚があることに気づいた。
それは丁度山の山頂にある部分であった。
下着を身に付けていないからくる感覚かもしれなかった。

向かいに座っている小説を読んでいる中年のサラリーマンを一瞥し、胸の下で腕を組んだ。
そしていつも以上に太ももをピッチリと閉じた。

身に覚えのない状況に記憶を巡らせた。
昨日は確かゼミの飲み会があったはずだ。ゼミ生が全員参加し、教授も参加していた。19時スタートで1時間半の飲み放題が終わり、2時間後には解散になる予定だったはずだ。
飲み会の途中からの記憶が無かった。
友人の美佳と隣で座っていたはずなのだが、彼女と帰らなかったのか。
何度考えてもその後から朝起きるまでの記憶がすっぽりと抜け落ちていた。

友人の美佳からラインメッセージが入っていた。

《おはよ☆ミ
昨日あの後、大丈夫だった??》

彼女は「あの後」がどの後か分からなかったが、
少なくとも友人に心配されるような状況があった訳だ。

彼女は当たり障りの無いメッセージを返信した。
『全然大丈夫だったよ
そんなにやばかったかなぁ?』

美佳からすぐ返事が来た。
《大丈夫なら良かった♪
タクシー乗るとき気分悪そうだったから心配で(´- `*)》

どうやら飲み会の後、タクシーで帰ったようだ。記憶を辿ってみるがやはり思い出すことは出来なかった。

『心配してくれてありがとう
美佳は大丈夫だった?』

《私は大丈夫だったよ(^∇^)
何とか終電で帰れたよー
酔ったユウカがセクシーでヒヤヒヤしたよ笑》

終電?飲み会は21時に終わった訳ではないのか。終電と言うことはそこから3時間近く続いたと言うことなのか?
少なくとも同性の美佳にセクシーと見られるような事をしていたのか?
恥ずかしさが込み上げてくる。


『昨日はちょっとはっちゃけちゃったね~っ
ゴメンゴメン(*^^*)』

ユウカは記憶を無くしていないかのように友人へのメールを返信した。


スマートホンをカバンにしまうと彼女は降車駅の呼び出しがあるまで、雑音の中に身を預けるように目を閉じた。


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