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官能的大恋愛
第1章 幸せを感じる時
「いらっしゃいませ…1点…2点…3点。以上でお会計315円です…」

レジはやっぱり嫌いだ。

対面して、人と接するのは昔からどうも苦手で。

「ちょうどのお預かりですね…ありがとうございました…」

くわばら、くわばら…って、ありがとうございましたの言葉の後に、いつもそう思う。

で、遠くを見つめる。

35歳で独身で、今まで何してたかってアルバイトで転々としていた。

彼氏はいない。

意外とすぐに別れちゃう。

結婚してと言われた言葉に、重苦しくて別れたり。

わりと服装も顔も地味な方だから、性格がおとなしいと思われて、あれやこれやと要求されると、やっぱり面倒臭くなって別れちゃう。

人のアドバイスなんて、正直どうでもいい。

強要されるくらいなら、投げ出したい。

物事から辛くて逃げ出しても、それを私は全然恥ずかしい事だとは思わない。

むしろ、やりたいようにやってる時の幸せを奪われるくらいなら孤独を取っても構わない。

地味っていうか、性格が根っから暗いんだよね。

ひねくれ者だと、両親からよく言われる。

笑顔を簡単に見せたくない。

楽しく気楽に生きてると、思われたくない。

平々凡々の幸せを振りかざし、自慢気に誇らしげに人生を歩みたくない。

普通に何もない、その辺に転がってる女たちと一緒にされたくない。

私はみんなとは、違うんだから。


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