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女鑑~おんなかがみ~
第14章 被虐
「…はい」
「だったら,全部覚えろ。尻をこちらに向けるんだ」
乱暴に着物をめくられ,,昨日の痛みがまだ残る部分を,乾いたままの指がかき分けて押し入ってくる。身体をこじ開けられているようで思わず声を上げた。
「う,痛い,待ってください」
「だめだ。昨日ちゃんと入ったのだから,今日入らないはずがないだろう。我慢しろ。」
そういわれると,昨日の痛みを思い出してますます身体が固くなり,葵は逃れようと身を捩った。
すぐに腰を強くつかまれる。
「逃げるな。もう生娘ではないんだぞ。
そりゃ,あと十日やそこらは,初物だといってごまかすこともできる。だが,本当に女をよく知っている男は,そんなものに騙されない。
今のところ,君の唯一のとりえは,辛抱強いところかと思っていたが,今日はだらしがなさすぎるぞ。」

さっき口に入れられたものの不快感が胸に残り,ただ,いわれるままに四つん這いの姿勢をとるのがやっとだった。
「客にほぐしてもらおうなどと思うな。いつ入れられても受け入れられるようにしろ。
口を使うのに必死で,ここが濡れる余裕はなかったか。痛いだろうが,昨日よりはましになっているはずだ。」
昨日よりは鈍くて重い痛みが腰を貫いた。痛み自体は昨日よりはましだが,なぜか昨日よりも,耐えることが辛いと感じた。

……寂しくて,心細い
昨日は,若槻の背中にしがみついていたので,痛みに耐えることができた。でも今は目の前に布団と畳しかなく,後ろから腰を乱暴に動かされる。

早く終わってほしいということしか考えられなくなった。
ただ,みじめで悲しくて涙と鼻水が流れる。

「おい,たまには目を開けて,前の鏡を見てみろ。ひどい顔だな。」
見たくなかった。このようなみじめになった自分の姿を想像することさえ辛い。
「こんなひどい顔をして,痛いだの苦しいだのと色気もない声で呻いている女を,大金を払って抱きたいと思う男はいないぞ。
痛かったり,苦しかったりしても,男がそそられるような顔をしろ。
そうだ,昨日,お前がかぶっている布団を俺がはがしたときの顔,あれはよかった。
あれを思い出せ」

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