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女鑑~おんなかがみ~
第11章 嗜虐
「まあ,世話になったからね。京都に行ったときには墓で手を合わせてくるよ。ご子息にも挨拶していたんだけど,もうそのご子息も隠居しているから,法事などには行かないけれど,お寺に事情を説明してお供えだけはずっと。」
話しながら女将は,若槻が何やら計算をしていることに気づいた。
「何を計算しているんだい,それなら心配いらないよ。もともと中風やら糖尿やらいろいろ患っていたし,頭に包帯を巻いてきたあとからも一年以上は元気だったから。
悪いと思っているなら,お前も墓参りくらいしてくれたらどうだい」
「いえ,私はあんなヒキガエルの墓に参るつもりはありませんね。打ち損じたは一生の禍根と言いたいところですが,あのヒキガエルの三十三回忌だかの日には,姉上がお留守のむらさき屋で,品行方正な操子嬢の水揚げを・・・。ちょっと可哀そうな気はするが,俺でも,あのヒキガエルの爺よりはましだろうと・・」と若槻が饒舌になる。
「ヒキガエルはおやめなさい。失礼ではありませんか。30年も前にあちらへ行かれた旦那様ですよ」
「わかりましたよ。あんな助平爺と一緒にしてはヒキガエルに失礼なのでやめることにいたします。」
女将もさすがに吹き出しそうになったが,直ぐに厳しい顔に戻った。
「今,ふと思ったんだけれど,お前さんは,私の敵を討つつもりで,それも江戸の敵を長崎で討つような,そんな了見で,操子の水揚げのことを考えてるんじゃないだろうね」
「え」
「お前が高等官をやめてから,危なげな商売で儲けては,あちこちの楼で金に飽かせて,年端もいかないような新造やら女郎やらを水揚げしているという噂はこちらでも知っているんだよ。」
女将は,若槻の表情を窺いながらそのようなことを言った。
若槻は,一瞬ばつの悪そうな顔を見せたが,すぐにいつもの皮肉っぽい口調に戻った。
「姉上も,いつの間にそのような諜報活動をなさっているのですか。それをいえば,こちらも,いろいろと噂を聞いていますよ。この前の,倉持木材から来たスエちゃんのときもそうだし,それより前にも,京都で芸妓をされていたときにも・・・。歳の足りていない娘に水揚げを強いて,しかも怖がって泣く娘を折檻したり縛ったりする,鬼のような女だとね」
「なんだそれは,噂ほどあてにならないものはないよ。」と乾いた声で笑いながら,女将は表情を硬くした。
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