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振り向けば…
第2章 俺を呼べや…



学校での私はいい子を演じる。

漢字は丁寧に綺麗な字で書くように心掛けて、算数は完璧に答える事が出来る優等生。

対する悠真はガキ大将。


「悠真君は来夢ちゃんにもっと勉強を教えて貰いなさい。」


私と悠真の家庭の事情を知っている担任の先生がそんな事を言う。


「帰るぞー。」


悠真は先生の言葉を無視して教室から飛び出す。


「先生、さよなら。」


私は先生に頭を下げて教室を出る。

そこからは2人で悠真の家に帰る。

予定よりもお父さんの退院が長引いてる。

悠真のお母さんは予定通りにうちのお父さんの会社で仕事をする。

ただし、夕方になる前には帰って来る。

悠真が1人で留守番が出来るようになるまでは、パートタイムで務める条件だったから、問題はない。

問題は…。


「おばちゃんが帰って来る前に宿題しいや。」

「やだね。今日こそは伝説のモンスターをゲットするんや。」


悠真は入学祝いにうちのお父さんが買うてくれたゲームに夢中。

私も同じものを買うて貰ろたけど、お父さんと一緒にやりたいからとほとんどやってない。

宿題が終わる頃には買い物を済ませた悠真のお母さんが帰って来る。


「2人とも、今日の学校はどうやった?」


毎日のようにおばちゃんが確認する。


「学校は普通…。悠真が掃除サボって先生に怒られた。それに悠真はまだ宿題も終わってないで…。」

「何!?」


おばちゃんが目の色を変える。


「お前っ!チクんなや。ブスっ!」


悠真がそう叫んだ瞬間におばちゃんの強烈な鉄拳が悠真に飛ぶ。


「虐待や!」

「やかましい!宿題をやらんのなら大ちゃんがくれたゲームは没収や!」


毎日のように行われる、そんな親子喧嘩を羨ましく思いながら見る。


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