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振り向けば…
第9章 もう少しだけ頼むわ…



この紳士で奥手の天野さんと付き合う事になるまでには更に3ヶ月の月日を必要とする。

春休みに既に付き合いを始めていた日下先輩と玲奈さんにダブルデートをしようと無理矢理に誘われた日の帰り道…。

ガチガチに緊張をする先輩から


「僕で良ければお付き合いをして貰えませんか?」


と言われた。

手すら繋がない彼氏…。

生真面目な上にお坊っちゃんの彼氏…。

実家は京都の老舗の呉服屋さん…。

大学の為に親の仕送りで大学の近所のマンションに一人暮らしをしてる。

丁寧な言葉使い。

下品な事は嫌い、派手な事も嫌う。

剣道に熱心で、勉強にも熱心な人…。

私は2年生になり、天野さんが3年生になる。


「先輩…、この問題わからない。」

「先輩って呼ぶのは止める約束だよね?」

「拓也さん…。」

「この問題の解き方はね…。」


そんな感じでの真面目なお付き合い…。

ただ拓也さんが1つだけ気にする事は…。


「来夢…、この前のノート見せてくれ。」


と現れる悠真の事…。


「また講義…、サボったんか?」

「いんや、今回は爆睡してた。」


クリエイターの仕事に夢中な悠真は大学をサボるようになった。

一応、ノートを貸してやる。


「悠真ぁ…、まだぁ?」


女の子が悠真を待ってる。


「誰?」

「彼女。」

「嘘っ?」

「ほんま…、来夢も行けへんか?今度アミューズメントに行く予定なんや。」


映画好きの悠真が行きたがるアミューズメント…。

お父さんとも行ったけど悠真と2人だけで行った事もある。

そこにダブルデートで行こうと悠真が言う。


「いいよ。僕達も行こう。」


悠真の存在を気にしてる拓也さんが返事をする。

悠真の事は家族のような存在だとは説明をしてあるのに…。

拓也さんは最後まで悠真の存在を認めてくれる事はなかった。


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