この作品は18歳未満閲覧禁止です
![](/image/skin/separater44.gif)
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第10章 映画にでも…
![](/image/mobi/1px_nocolor.gif)
拓也さんの姿がマンションの中に消えた瞬間。
「前に来いや。」
と不機嫌な悠真が言う。
「このまま後ろの席でええよ。たかが5分程度の道のりやん。」
チッ…。
また悠真の舌打ちが聞こえる。
なんでそんなに不機嫌なん?
嫌なら始めからダブルデートなんか言うなよ。
悠真に文句を言おうとした。
「なぁ…、映画にでも行けへんか?」
「今からか?」
「来週くらい…。オールナイトで…。」
「映画は自分の彼女と行きいや。」
悠真は返事をしなかった。
すっかり忘れてたわ。
他の奴と映画に行くなって話…。
拓也さんと行くと約束をした私が気に入らんかったと今だから理解が出来る。
この時は私には拓也さんが居た。
悠真には…。
「ねぇ…、あれって悠真君だよね?」
学校の食堂で私達とは違うテーブルに座ってる茶髪になった悠真を拓也さんが確認する。
「そうです…。」
そう答えるしかない。
しかも悠真が連れている女の子は前回のダブルデートの時とは違う女の子。
もうすぐ夏…。
僅か3ヶ月で彼女を3人も変えた悠真。
「悠真君って…、モテるんだ。」
拓也さんが苦笑いをする。
「そうかな?」
「来夢はカッコいいとか思った事ないの?」
「ありません。私の好みは誠実な人です。」
「なら僕は誠実な人になれるように努力する。」
拓也さんが微笑んでくれるだけで幸せだった。
奥手で人前ではベタベタとかしない人。
まだキスだけの関係なのに常に私を優先して優しくしてくれる彼氏…。
一途で私だけを見る拓也さんが本当に好きだった。
![](/image/skin/separater44.gif)
![](/image/skin/separater44.gif)