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振り向けば…
第17章 遠い過去…



「私が全部…、悪かったんです。」


俯いてそう言うた私の手を拓也さんが握る。


「それは違うと思うよ。ただ若かったのだと今の僕は思う。僕はあまりにも未熟だった。あの頃の悠真君は既に大人で、まるで来夢のナイトだった。僕は悠真君に負けてる自分が悔しくて来夢を傷つけてしまった事を今も悔やんでます。」


年下好きの玲奈さんが悠真を可愛げがないといつも言うてた事を思い出す。

それはもう遠い過去…。

私が背伸びばかりしてたように拓也さんも背伸びをするのに必死だっただけの事。


「素敵な女性になりましたね。」


爽やかなイケメンからそう言われると照れくさい。


「だからそれは今日だけなんです。本当にいつもは現場で汚れたガテン系ですから…。」

「そんな事はないです。とても可愛くて健康的で…。僕と居た頃よりもずっと素敵になりました。」


懐かしいものを見るように拓也さんが私をじっと見つめるという食事だった。

あの頃の私は拓也さん好みの地味な女性を目指した。

悠真はそれを止めろと言うてた。

私らしい服が一番なんだと…。

今日の私は私らしいドレスを着て私なりのメイクをして玲奈さんの披露宴に参加した。

初めて拓也さんと出会うた時のように…。

私は私のままで拓也さんに今の自分を見せた。

その私を素直に拓也さんが褒めてくれる。


「さて、そろそろ送ります。」


まだ夜の9時前…。

こういうところは変わってない人。

拓也さんのマンションの傍にある駐車場から拓也さんが車を出す。


「車…、買ったんですね。」


あの頃は私しか免許を持ってなかった。


「中古です。でも、これがないと不便だから…。」


見習いだから、近畿中を走り回ってると拓也さんが嘆いた。


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