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振り向けば…
第21章 喋れば変態…



クリスマス…。

会社中がなんとなく、そわそわとしてる。

通常勤務なのに…。

現場でも海斗さんが奈緒さんにネックレスを買うたと照れながら話をする。

私は作業服を着たガテン系姉ちゃん…。

スッピンのままで、とてもじゃないがクリスマスには縁遠い存在に見える。

それでも早めに会社に戻り、報告書を済ませてロッカーで着替えをする。

本当はシャワーを浴びたいとか考える。

現場でのヘルメットのせいで髪はペタンコになってるし、身体はなんだか埃っぽい。

そんな私でも今夜は精一杯のお洒落をする。

ヒールを履き、少しタイトな薄紫のワンピースを着て口紅を引く。


「森本さん?」


廊下で会った社長さんが目を丸くする。


「お疲れ様です。」

「デートか?まるで別人やな。」


社長さんにそう言われて悪い気はしない。

ちゃんと自分がお洒落を出来てるのだと思うから…。


「いってきます。」

「いってらっしゃい。良いクリスマスを…。」


宮崎さんと同じような親父ギャグをする社長さんに吹き出した。

この会社の年配の人は良い○○を…が好きならしい。

拓也さんとの待ち合わせに向かう。

今夜の私は変じゃない?

私はちゃんと女の子が出来てる?

拓也さんに本当の自分を見せる事が出来る?

初めてのデートのような気持ちでワクワクとする。

今日は拓也さんとのデートの為だけに車出勤をしていない。


「お待たせしましたね。」


待ち合わせ場所に拓也さんが車で来た。

目を細めて私を見る拓也さんにドキドキする。

変かな?

変じゃない?


「なんか…、緊張します…。」


赤い顔でそう言う拓也さんに少しだけホッとする。

ほんの少しでも拓也さんに可愛いと思われたい。


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