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振り向けば…
第4章 笑ろたれや…



翌日の放課後…。

部活を休む事は言うてある。

なのに机の前に座ったまま私の足は動かない。

隣りのクラスから悠真が来た。


「行くぞ。」


私の手を握って悠真が歩き出す。


ヒューッヒューッ!


男子達が私達を冷やかすのに悠真は見向きもせずに私をバス停まで連れて行く。

内海さん達も私を見てた。

明日にはまた壁ドンの尋問で


「今田君と付き合ってるの?」


と聞かれるのだと思う。

それがとてもくだらない事だと感じる。

悠真が内海さんを頭の悪い子だと言うてた意味がわかって来た。

付き合ってようが付き合ってなかろが悠真は私をお父さんの病院に連れて行く。

その関係をいちいち詮索して騒ぎ立てても全く意味がない事だ。

そんなくだらない事を騒ぐ子を頭の悪い子だと悠真は見下してる。

恋愛よりも大切な事が世の中にはたくさんある。

私にとって今はお父さんの病院に行く事がとても大切な事だと悠真に教わった気がした。

病院ではお父さんが


「また、うんこが近くなるんや。」


と言うて下品に笑う。


「トイレットペーパーを持ち歩くしかないっすよ。」


下品なお父さんの言葉に合わせて悠真がそんな事を言うて笑う。

私だけが笑えない。

だから…。


「来夢…。心配すんな。お父さんは絶対に来夢のところに帰ったるから、受験の前までには絶対に帰ったるから、しっかりと勉強して待っててくれや。」


とお父さんが無理矢理に私に約束をする。


「絶対やで…。」

「任せとけ…。」


根拠のない約束でも今の私はそれに縋る。

4度目の手術…。

痩せるだけのお父さんに涙しか見せる事が出来なかった。


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