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振り向けば…
第5章 悔しいけど…



「そろそろ行くぞ。」


悠真が私に言う。


「へっ?」

「なんやねん?」

「悠真…、どこを受験する気や?」

「お前と同じ高校や。」


悠真が私に同じ受験票を見せて来る。


「嘘やろ!?」

「私立を受けてないからランクを下げるしかなかったんや。だからお前と同じになる。」


愕然とした。

遊んでばかりの悠真。

必死に勉強をした私。

公立ではあるが一応は上位クラスの進学高校。

そんな高校にランクを下げたという悠真が受験をすると言いやがる。


「お前、まさかトップ高校に行けたんか!?」

「私立を受験してたら行けると先生に言われてた。」


気が狂いそうなくらいにムカついた。

イライラとしながら受験をした。

これで落ちたら悠真のせいやとか考える。

仲良く悠真と合格した。

お祝いはいつものお寿司屋さん…。

雛人形のように悠真と並ばされる。


「さすが龍平の子やな。」

「ますます龍平先輩に似ましたね。」


遊んでばかりのくせに私と同じ高校に合格をした悠真を皆んなが褒めちぎる。

『アリとキリギリス』の絵本は子供騙しの嘘なんだと悟ってまう。


「ふざけんな。」

「なにが?」


とぼけてニヤニヤとする悠真を蹴飛ばした。


「来夢さん…、乱暴や。」

「やかましい!」

「生理中か?」

「変態!近寄んな!」


悠真とひたすら喧嘩をした。


「お前ら…、いつになったら仲良くなるんや?」


お父さんが呆れて笑う。


「悠真とだけは絶対に仲良くならない!」

「えーっ?たまには仲良くしようぜ。」

「お断りや!」


周りの人は完全に悠真を大人扱いで私だけが子供扱いというお祝いの席になった。


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