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振り向けば…
第6章 俺だけ見てろ…



夏が終わったのは水泳部だけじゃない。

どこのクラブもインターハイには行けない学校。

だからなのか、夏休みに入ると応援団の練習に有り得ないほど張り切り出す。

踊る曲が配られて、振り付けの描いてあるコピー用紙が渡される。

更に衣装のデザイン…。

今年の紫組はアラビアンナイトを意識する。

裾の膨らむスボンにチューブトップのキャミソール。

金やラメの飾りが付いたベストを着る。

髪型までお揃いにして紫の花飾りを付ける予定。


「髪が短い人はこの夏休みだけは伸ばしてね。」


そんな事まで指示を受けるのか?

たかが体育祭の応援団なのに…。

呆れながらも踊りの練習に参加して衣装を縫う手伝いをする毎日。


「日下君の衣装を頼める?」


明日香先輩が私に言う。


「日下先輩のですか!?」


応援団長の衣装はベストがロングになり王族風をイメージしたかなり目立つ衣装。

明日香先輩がケラケラと笑う。


「日下君とぐっさんってライバルだからね。わざと来夢に日下君の分を縫って貰ってぐっさんを悔しがらせる作戦なの。」


どんな作戦なんだとか思う。

毎年、彼氏の分は彼女が優先して縫ってもいいという条件にはなってるらしい。

だから明日香先輩はカラーが違うのに青組のこんちゃん先輩の衣装まで縫っている。

家庭科室のミシンが借りられるから、今日の応援団の女子はそこに集まってる。

男子は既にグランドで練習をしてる。


「さっさと済ませて私達も練習しなきゃ。」


明日香先輩が皆んなを励ますように言う。

悠真の衣装はクラス1派手な女子の亜美(あみ)が縫うと宣言したから私は日下先輩の衣装を縫う事になる。


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