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旧家のしきたり
第2章 嫁試し
「『嫁試し』について二人に説明しましょう」

母は、座り直して僕たちの方に顔を向けた。

「『嫁試し』とは、蔵森家に古くから伝わる儀式です。土地の外から嫁を迎えるとき、その嫁が本当に蔵森家の妻として務まるか、迎える婿が嫁にうつつを抜かすことなく蔵森家のために尽くすことができるかを確かめるために行ってきました。美穂さん、あなたには、これから3日間、御三家の3人と順番にまぐわってもらいます」

えっ、まぐわう!? 聞き間違えたのだろうか。僕は自分の耳を疑った。

「母さん、今、『まぐわう』って言わなかった?」

恐る恐る確認すると、

「言いました」

母はきっぱりと言った。

「でも、『まぐわう』って……」

「そうです。床を共にし、情を交わすということです」

それって、この3人に美穂が抱かれるっていうこと、セックスをするっていうことか?

僕は棒で頭を殴られたようなショックを受けた。隣を見ると、美穂の顔面も蒼白になっている。
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