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契り【~初身世】
第1章 渡り橋



「…どうでしたか?現世は」

「…今のが、現世!?」

「そうです。断片的にですが、今現世で起こっている映像ですよ。」


今福線は脱力したようにその場に寝転ぶ。

「みんな…辛そうだった……死ぬことに。」

「…」

「『死』って…みんな辛いことなんだね。」


溢れ出した涙が頬へと流れ落ちる。

弥勒は今福線の横にゆっくり座る。


「人の命は花のように儚い。」

「人や草木…物などには『時間』という鎖で縛られ…逆らう事はできない。」

「…」

「でも、みんな懸命に生き抜こうとしている。」

「理由はそれぞれ。夢を追う者、誰かのために生きる者、役目を果たす者……理由は無くても真っ直ぐ生きる者。それぞれだ。」

「……そうだよね!みんながんばって生きようとしている!」

今福線は涙を拭い立ち上がると弥勒を真っ直ぐ見る。

「私、この『橋』の管理人になるっ!」

虚ろな眼から光が生まれる。

「死神になって、『橋』に来た死者達の魂に寄り添い助けて…導いていきたい!」

今福線の言葉に弥勒は安心したように小さく笑い
再び今福線の額に手を当てる。

弥勒の手から光が放つ…


「いいでしょう。では、今から君はこの『橋』221―Bの管理人。『常夜』(とこよ)です。」


今福線…『常世』は漆黒のドレスと黒いベールで包まれた死神になった。

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