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第7章 兄の彼女

ふと、コンパニオンの変更をお願いしようか、という考えが一瞬だけ頭をかすめた。

愛先輩は、ふーっとため息を吐くとこう漏らす。

「あたし、なんであんなことしちゃったんだろう」

あんなこと？　と訊き返した。

「さっき一階でエレベータの扉が開いた時、どうしようって焦ってたんだけど、思わず智広くんの腕を掴んじゃったんだよね、無意識のうちに――。智広くんも気まずいかもしれないけど、どっちかっていうと風俗で働いてるあたしの方が気まずいよ。そんなことわかってるはずなのに、なぜか智広くんを見た瞬間エレベータに引き込んでしまったの」