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セックスと愛とフレグランス
第7章 兄の彼女
桐原愛がソープランドでコンパニオンをしている理由はいくら考えてもわからなかった。

高校時代は清純派で売っていた愛先輩である。

その彼女が、風俗嬢のような一般的に見て陰の商売に就いていることが今でも信じられないのだ。

すると彼女は、別に、とため息交じりに返し天井を見上げた。

「別にってどういうことですか?」

「別には別によ。そんなソープ嬢にこだわりなんてない。あたし――普段は都心でOLをしてるの。ここで働いてるのは単純にお金が欲しいだけ。まあ、多額の借金はないけど、お小遣い欲しさに週末の数時間だけお世話になってるんだ。たぶん、智広くんが想像してる金額よりここのお給料って結構いいのよ。OLしてるのがバカげてくるんだけど、世間から疎くならないようにそっちも続けてる。まあそういう訳」

愛先輩はため息を吐くとふっと微笑んだ。

その横顔が寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。

そんなことを考えていると、愛先輩が突然、智広の兄の名を告げた。

「ねえ、孝介くん元気?」
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