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約束のピンキーリング
第3章 キ
連れてこられたのは、品のいい小料理屋で、カウンターと数席しかないお店だった。
高級料理屋さんじゃないけど、美味しいお酒と美味しい料理に舌鼓を打った。

「岡本くん、珍しいわね。一人じゃないなんて」

と、女将さんはニコニコして。
ここでも可愛がられているらしい。

ニカッと笑う岡本主任のその笑顔は、私に向ける笑顔とは違って爽やかだ。

「で?何で別れたんだ?」
お酒が進んで、少し酔ったところでその話を持ち出された。

「ですから!フラれたんですよ・・・私の仕事がデカいからって」
「はぁ?」

「オンナのほうが収入高くちゃいけませんか?」
「まぁ、オトコとしてのプライドは傷つくかもな」
「ちっちゃい・・・」
「ちっちゃいって」

岡本主任は、私の話を楽しそうに聞いてくれるから口が滑る。

「オンナは、デートに至るまで色々努力してるんです!」
「だな」
「爪を綺麗にして、髪を巻いて、どの服で行こうか悩んで、エステにも行って」
「うん」

「このヒール!どれだけ足が疲れるかオトコに分かりますか?」
「だよなぁ」

「言いたくないけどお金もかけてるんです!!」
「そうか」
「それなのに、オトコがデート代を全額払うのはおかしいから割り勘にしようとか。
そんなこと口に出して言わないでほしい。私だって気持ちよく出しているのに。
それこそトータルでは私のほうがお金かけてますよ!」
「かもな」

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