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約束のピンキーリング
第7章 ン 
28歳の男の結婚願望がどれぐらいあるかなんか分からないけど。

仕事がノッていて、やりがいのある仕事と環境の中で
女性に不自由なく毎日を過ごしている男に
そうそう「今すぐの」結婚願望があるとは思えない。

私の小指に絡みつくピンキーリングは
エンゲージリングをはめる薬指には小さすぎてはまらない。
それが彼にとって私を結婚相手として思う気持ちには足りない大きさなんだと言い聞かせているようで寂しくなる。
それでも岡本主任の存在は私の心を占領して来る。

結婚は出来ないけど。

このピンキーリングの大きさが、私にそう言っているようで
自分自身の気持ちが大きくなるのをストップさせる。

まだ・・・本気になっていない。
大丈夫。

結婚を前提に誰かと付き合う前に
ほんのちょっとの間だけ、自由に楽しく付き合いたいだけ。

大丈夫。

好きになる前にプロジェクトも終わるから。

大丈夫。

好きになる前に、
好きになる前に・・・

きっと終わるから。

自分ではそう思っているのに
ふとした時に小指にハマっているピンキーリングを触る癖が付いている事に気がついた。

「やだ」

つい口に出してそう言ってみても
すでにその指輪は私の大事な一部となっていた。
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