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花の輪舞曲
第1章 夜啼鳥の小夜曲
「…伽倻子様…」
伽倻子は環が走り去った方へ視線を預けながら呟く。
「…思春期の男の子って、本当に難しいわ…。
学校で事件を起こした時も一言も口を聞いてくれなくてね…。
怪我をさせた上級生は主人の帝大時代の先輩のご子息だったものだから、主人は激怒するし環さんは益々心を閉ざしてしまって…。
私もどうしたら良いか分からなくなってしまってね…本当に情けないわね。
それで実家と篤子義姉様に頼って、環さんを預かっていただいたの…。
私は母親失格だわ…」
伽倻子の華やかな美貌が苦しげに曇る。
「…あの…伽倻子様…」
ため息を吐く伽倻子に笙子は思わず声を掛けようとして、思い留まる。
…環さんのあの事件の真相を…私が勝手に話しても良いのかしら…。

「なあに?笙子様」
笙子は首を振る。
「…いいえ、あの…。
環さんは伽倻子様のことを嫌ってなどいらっしゃいませんわ。
環さんはとても優しい方です」

伽倻子は意外そうに笑う。
「まあ…。貴女には別の顔を見せるのかしらね。
…いいのよ。私は家を空けることも多くて、あの子に寂しい思いをさせていたわ。母親らしいことも余りできなかった…。
嫌われて当然だわ」

ふっと頭を振り、それよりも…と、笙子の方を向き直る。
「…さっき、少し二人の話を聞いてしまったの。ごめんなさいね。
…でも…。
貴方達、まだ本当のご夫婦にはなっていらっしゃらないの?」
鋭い一言に、笙子ははっと息を呑み…暫くしたのち、小さく頷いた。
「…はい。そうです…。
私と千紘さんはまだ結ばれておりません…」
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