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セイドレイ【完結】
第25章 暗転

そんなころ、亜美は武田クリニックの病室のベッドで横になっていた。
新堂が来ている間、ここで過ごすよう雅彦に言われていたからだ。

結論からすると、亜美の妊娠は雅彦が仕組んだ "嘘" である。
亜美がそのことを知らされたのは、さかのぼること6日前──終業式の夜のことだった。

亜美としても、今回の妊娠については不可解な点がいくつかあった。
まず、妊娠しているかどうかの検査も、雅彦がすべて1人で行っていたこと。
前回のときはまるで晒し者かのように検査薬を使用させられたことを考えると、それはいささか妙な気はしていた。
口頭で妊娠の事実を伝えられたが、今思えば確固たる証拠をなにひとつとして見せられていたわけではない。

そしてなにより一番疑問に思ったのが、あの話し合いの場で目にした "エコー写真" である。
亜美が経膣エコーをしたとき、雅彦は「まだ確認できない」とだけ言い、モニターすら見せてくれなかった。

それなのに──どこからともなく現れたあの7週目のエコー写真。
あれを見たときはさずかに不信感を抱かずにはいられなかったが、あのときはそれを言い出せる状況になかった。

それ以前に、亜美には今日に至るまで生理が来ていない。
つわりなどの妊娠初期の症状がまったくみられないことも疑問ではあったが、個人差があるのだろうということで納得しようとしていた。

それらが重なったことにより、亜美は自分が妊娠していることを疑っていなかったのである。

では──、一体雅彦はなんのために、どのような方法で、亜美の妊娠を偽装したのか。

きっかけはひとつ──。
亜美が「雅彦の子を妊娠したい」と言ったあの夜。

実はそのとき雅彦は、新堂の発案によるあの「孕ませイベント」が近々開催されることを事前に聞かされていた。

それに伴い、雅彦が新堂から命じられていたのは、亜美が妊娠しやすいであろう危険日の予測と、排卵誘発剤の投与──。

しかしすでにそのころ、雅彦は新堂のやり方を快く思っていなかったため、それらを実行するのに気が進まないでいた。

そんな中、亜美がふと口走った「お父様の子どもがほしい」という、たったその一言が、雅彦を "妊娠偽装" へと駆り立てたのだ。


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