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セイドレイ【完結】
第26章 形勢
「お、おい…マジかよ…」

アプリがマップ上に指し示す座標位置は、武田クリニックからたった数百メートル離れた位置だった。

自宅のこんな近くに、亜美を誘拐しようとした男が暮らしているかもしれない。
もちろん、あくまで位置情報は写真を撮影した場所であり、それがタカの住まいとは限らないがーー。

偶然にしてはあまりに近すぎるのではないか。

もしかして、タカはあらかじめ亜美を知っていた可能性があるのではないのか。
ストーカーか?
いやそれなら、もっと別の方法があったはず。

本当に、ただの偶然の重なりなのか。
そもそも、どうして亜美を無傷で解放したのか。
もしかしたら、タカは亜美を知っている?

タカの目的は一体何だったのかーー。

『タカ』の正体が『貴之』だと知らない慎二は、アプリが示す位置情報をじっと見つめながら、コンビニの駐車場で一人、頭を抱えていた。


しばらくして、慎二はハッとする。

あの『タカ』という男は、『水野貴之』では無いのか。

貴之の姿は、過去に一度だけ、自宅の門の前で見たことがあった。

遠目ではあったが、今思えば背格好も似ている気がする。

わざわざ顔を隠し、亜美に目隠しだけでなく耳を塞ぐことまで要求したということは、声を聞かれる事を避けたかったからでは無いのか。

もし、『タカ』が『水野貴之』であるならば、EXIF情報が指し示す位置も、亜美の様子のおかしさも、全ての辻褄が合う。

しかし何故、亜美を解放したのかーー。

恐らくこれは、亜美がそれを望んだからに違いない。

どうして貴之が亜美に接触しようとしてきたか理由は定かではないが、亜美を妊娠させたという濡れ衣を着せられている今、何らかのアクションを起こそうとしても不思議では無い。

このまま現地へ確認に向かうつもりもあったが、どうせ帰り道だ。
それより先に、亜美を問い詰める必要がある。

慎二はスマホの画面を切り替えると、田中に電話する。

「…あ、もしもしぃ?田中さん?もう筆下ろし終わった…?そっか、ならちょっと早いけど今からそっち戻るね。ん?いや、ちょっと急用ができちゃって。うん。そんじゃ、はいー」

そう言って電話を切ると、慎二は元来た道を辿り、田中の家へと車を走らせた。
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