この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第27章 愛
気が気で無いまま何とか午後の診療を終えると、程なくして健一がやってくる。

「…親父!あれからどうだ?亜美は戻ってきたか!?」

「いや…まだだ……」

普段の堂々とした雅彦が、すっかり衰弱しているのが見て取れる。

「慎二はどうなんだよ?あいつはずっと家に居たんだろ!?」

「あぁ…夜までは一緒に居たそうだ。何やら亜美の宿題を見てやったとか言っててな…確かにそうだった。亜美の机の上に、慎二が書いた数式のメモがあったからな…ワシが朝まで飲むと慎二に連絡した時は、まだ家に居たと言っているが…その後は知らんと…」

「…マジかよ…。畜生、あいつ自宅警備員のクセしてちっとも役に立ってねぇじゃねぇか…!近頃、亜美の様子はどうだったんだよ?何か変わったこととか…」

「……変わったも何も、クリスマスの夜はお前も一緒に居ただろう。ワシらにプレゼントまで配って…家族になりたいって言っていたんだ。もしかしたら、あれが別れの合図だったかもしれんな…だとしたら、ワシらは亜美から餞別をもらったということになるな」

「…親父!しっかりしろよ!…とりあえずさ、亜美が行きそうなとこ、どこでもいいから片っ端から探そうぜ!?もちろん、慎二にもやらせる。ここでじっとしてるよりかはマシだろ!??」

「…亜美が行きそうなところ?ほう…お前にはそれが分かるのか?お前は亜美の何を知ってると言うんだ!?毎日顔を合わせているワシは何も知らんぞ!?ワシは亜美の…亜美のことを…何も知らん…知ろうとすらしなかった……」

「…親父………………」

これ程までに意気消沈した父親の姿を見たのは初めてだった。
今にも泣きだしそうに見える雅彦に、健一はかける言葉が見つからない。

「……全てを捨てる覚悟で、警察の厄介になるか?ワシにはもうどうしていいか分からん。明日の朝まで待って亜美が戻らなかったら……その時は、お前も…覚悟はできているか?」

「……親父がそのつもりなら、俺は止めないよ。元々、俺だって何度もこの家から亜美を連れて逃げようと思ってたんだ。亜美が無事ならそれで…でも、警察に届け出るなら、まずは新堂のおっさんに…頼るべきだと思うぜ。あのおっさん、その辺にツテがあるだろ?確か、会員の中には公安の奴も居たじゃねぇか。新堂のおっさんだって、亜美のことが明るみになりゃ自分の立場が危うい訳だしさ…」
/903ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ