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セイドレイ【完結】
第28章 功罪
「…やぁ、二人とも。何だか大変なことになっているみたいだな。大体の話は雅彦から聞いているよ。私もできることがあれば協力したくて今日は来たんだ」

ひと足先に到着していた新堂が、健一と慎二にそう声をかける。

悩みに悩んだ末、雅彦は亜美が行方不明であることを新堂に電話で打ち明けたのだった。

まさか、その新堂の手によって亜美が捕らわれているとも知らずにーー。

雅彦が言う。

「…今回は全てワシの不注意によって起きたことだ。亜美の保護者としての責任を怠ったのが原因だ。亜美にもしものことがあったら、新堂やお前達にも迷惑をかけることになる。…情けないがワシ一人の力ではどうにもできん。そこで、新堂に協力してもらうことにした。…本当にすまない」

いつになく神妙な面持ちで、雅彦は自分の不手際を詫びた。

「親父……」

健一と慎二は顔を見合わせた。


「…まぁ、そう落ち込むな、雅彦。亜美の件に関しては、私にも責任が無いわけじゃあない。まずは無事を祈ろう。他のことはそれから考えればいい。…ということで早速だが、私も話を聞いてすぐに、知り合いの公安部の奴に連絡をしてみたんだ。彼はうちの会員でもある。亜美に何かあった時の影響は計り知れないからねぇ。すぐに秘密裏に捜索を始めてくれるそうだ」

新堂はどこかしら得意気にそう言った。

「ははっ…やっぱ新堂のおっさんはすげーや…俺らが何年かかってもできないことを一瞬でやっちまうんだからな。…だから言ったろ?親父。早いとこおっさんに頼れって…」

健一が少し安堵したような様子でそう言うが、雅彦は顔を強ばらせたままだ。

新堂は更に続ける。

「ただ…少々事情があってな。ただでさえ非公式な捜査だ。危ない橋も渡ってもらわなきゃならない。だからその内容は、私だけにしか開示できないとそいつに言われてな。今後の捜査状況をお前達に明かすことはできなくてね。そこだけは理解して欲しいんだが…いいかね?」

これが意味する所が何なのかーー。
健一と慎二は特に疑問を持っていなかったが、雅彦は違っていた。

確かにこの状況では、新堂に頼らざるを得なかっただろう。
しかしそれは同時に、亜美への実権が完全に新堂の手に渡ったことを意味する。

仮に亜美が無事に発見されたとして、果たして自分の元へと帰ってくることがあるのだろうか…雅彦はそんな予感を覚えていた。
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