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セイドレイ【完結】
第29章 ぬけがら
「…どうして…どうしてもっと早くにそれをワシに言わなかったんだっ!!」

武田家のリビングに、雅彦の怒号が飛び交う。
雅彦は、今にも殴らんとする勢いで慎二の胸ぐらを掴んでいた。

止めに入ることもせず、二人のそんな様子をうつむき加減でただ見つめるだけの健一。

新堂が亜美の捜索に協力すると言って武田家を去ったその後、健一と慎二は、亜美が姿を消した当日の出来事を雅彦に伝えた。

『セイドレイ』というサイトに亜美との痴態を収めた動画を絶えずアップロードしていたこと。
そのサイト上で知り合った田中という男に会いに行ったこと。
途中、変装をした貴之が乱入し、一度は亜美を連れ去ったこと。
そしてその後、戻ってきた亜美を田中の家へ連れて行き、慎二が外出している間に何者かが亜美を連れ去ってしまったことーー。

健一と慎二が雅彦の知らない事実を次々と口にするたび、雅彦の顔はみるみるうちに怒りをあらわにしていった。

まさか、自分の息子である慎二が、亜美が姿を消した一因に関与しているなどとは思いもしていなかったからだ。

胸ぐらを掴まれた慎二は抵抗するわけでもなく、ただ卑屈な表情を浮かべ、雅彦から目を逸らすばかりだった。

そんな慎二を見ていると、そのあまりの情けなさに、込み上げていた怒りが徐々に白けていく。

雅彦は振り上げた拳を下ろし、掴んでいた慎二の胸ぐらから手を離した。


「……ワシが間違っていたというのか…………」


雅彦はそう一言だけつぶやくと、ひどく憔悴し切った様子でリビングから出て行った。


うなだれる慎二に、健一が声をかける。

「…新堂のおっさんが見つけてくれるさ。亜美はきっと戻ってくる。俺らは俺らにできることをするしかねぇだろ?」

「…俺らに…できること。そんなもんあるわけ……」

「何でもいいからやるんだよ。新堂のおっさんは俺らには普段通りしてろって言ったけど、何かしてないと落ち着かねーし。親父もあの様子じゃあ当てにできねぇからな。とりあえず、明日にでももう一度田中のとこに行ってみようぜ。やっぱりあいつ、なんか怪しいし」
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