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セイドレイ【完結】
第9章 盟友

男たちは、妊婦である亜美をいたわるどころか、より一層エスカレートしていった。
みな、自身の性癖を刺激するコスチュームや玩具を用いて、その欲望のかぎりを亜美にぶちまける──。

でも、もういいのだ。
亜美は考えることをやめたのだ。
今では、この屋敷に来た日がものすごく遠い過去の出来事のように感じられる。

両親を亡くした痛みも、不思議とどこかへ行ってしまった。
正確にいえば、どうしても思い出せないのだ。
この場所で学び、夢に向かって進もうとしていたことも、なにもかもがはるか遠く昔の記憶だった。

生まれてから15年。
これまでの自分こそ偽りの姿であると──亜美は思った。
本当は、あんな男たちに股を開き、ついには妊娠までしてしまうような女なのだ、と。
女として、特別ななにかが自分にはあるのではないか、とさえ──。

その実、学校の男性教師や男子生徒から送られる視線が、"女" としての自分に注がれていることに、亜美は最近になってようやく気づいた。
真面目そうにしていても、優しく親切にしてくれていても、教師も生徒もみな、亜美にとっては武田家の3人と同じ "男" なのである。

なぜ、自分ばかりこんな目に遭うのか──。

ここへ来た当初、亜美はそう何度自問自答しても、その答えは分からなかった。


(でも、今なら分かる気がする──)


──そう考えてしまうほどに、徹底的な陵辱と妊娠によって、亜美の精神は崩壊しかけていた。

そんな折り、雅彦は亜美に「見せたいものがある」として、部屋から連れ出した。

行先も告げられず、広い屋敷の薄暗い廊下を進む雅彦の背中に亜美はついて行く。
まだすべての部屋を見たことがなかった亜美は、この屋敷の広さにあらためて驚いた。

しばらく行ったところで、雅彦が壁の前で歩みを止める。

その壁には、納戸のような扉がついており、丈夫そうな南京錠で鍵がかけられていた。

すると雅彦はポケットから鍵を取り出し、解錠する。

「さぁ、こっちだ」

亜美は言われるがまま、雅彦に続いて扉の中に入った──。

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