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女ざかりの恋の音色は
第4章 逸る気持ち
「ビール」

理志はバーカウンターでコインを出してビールを受け取った。
ライブハウスでは基本ドリンク代を徴収される。ドリンクと交換できるコインを受け取ってカウンターでドリンクをもらうのだ。

「私、ウーロン茶で」

理志がクスっと笑った気がした。お酒は弱いのだから仕方ない。

今日の理志はまるで芙実と似たような格好をしている。黒いTシャツにカーキの細身のパンツで、理志にしては普通の格好だ。理志の家はリキッドルームから遠くないらしく、一度帰宅して着替えてきたと言った。

(恵比寿に住んでるとか、期待を裏切らないなぁ・・・・・)

「ねえ、着替えどうしてんの?会社にそんな荷物持ってきてないよね」

理志と壁際に並んで立つ。会場はまだ明るく、人もまだ全員入ってないからか余裕があった。

「駅のコインロッカーに」
「面倒じゃない?ライブに行けそうな服で会社来たらいいじゃん。女子は割りと自由度高いし」
「いや~・・・・・・・。その、’会社でもライブハウスでもOK’っていう服を選ぶなんて高度な技できません・・・・・・」
「なんかさ、いちいち難しく考えすぎじゃない?服なんて、特にこだわりなかったらそのへんの店でマネキンが着てるそのまま買えばいいじゃん。なんなら今度一緒に買いにいこうよ」
「いやいやいや・・・・・・・」

そうこうしているうちに会場の明かりが落ちた。
演奏が開始されるとわかった人々が歓声を上げてステージの方に押しかけた。

芙実も胸をわくわくさせてステージの方を向いた。
ライブは大いに盛り上がり、芙実はすっかり理志の存在を忘れて楽しんだ。

「楽しかった・・・・・・・!!」

聴きたいと思っていた曲がたくさん聴けた。

芙実は興奮冷めやらぬ様子で理志に言った。

「ベース、良かったですね!」
「すげえ良かった!昔の曲もけっこうやったね」
「はい!聴きたかったやつ、いっぱい聴けて大満足です!」
「あはは!目がキラキラしてる。可愛いなぁ」

芙実は動きを止めて理志を見上げた。
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